7月30日の概要
7月30日のドル円は大幅下落。
この日は材料の多い日だった。
まず午前中は前日の夜からの流れを汲んで上昇、欧州時間は終始レンジなった、そしてNY時間が始まるとそのレンジを下にブレイク、その後23時にJOLTS求人件数が発表、予想802万人の所結果818万人(前回823万人)と予想より良い結果に、更に同時刻消費者信頼感指数が発表、予想99.7ポイントの所結果100.3ポイント(前回97.8ポイント)とこちらも予想を上回る結果に。
これを受けてドル買いとなりドル円は上昇するも、23時43分にまさかのNHKから「日銀は金利を0-0.1から0.25程度まで引き上げる事を検討」とのリーク記事が飛び出た、この記事の英訳が完了すると同じくらいと思われる0時にブルームバーグから「三村新財務官が円安を懸念」との記事を配信し二つの記事から0時5分から大幅下落が開始した。
0時44分には時事通信が「日銀が金利を0.25%、まで引き上げを検討」2時ちょうどに日経新聞が「日銀が追加利上げを検討」との記事をリークし下落に拍車がかかった。
日銀は今回は金利を据え置くとの予想が多かった為かインパクトがあり、この記事を執筆中の31日午前9時現在も下落は止まっていない。
JOLTS求人件数
JOLTS求人件数が発表された、結果は以下の通り。
今回の求人件数は予想を上回り、前回分も上方修正された。
求人の数自体は多く求人需要は堅調だが採用件数が31万件減少の534万件と約1年ぶりの減少幅であり賃金も伸び率が良くなかった。
失業保険の受給者が増加傾向にある事も踏まえると労働市場全体としてはやはり鈍化傾向なのかもしれない。
消費者信頼感指数
消費者信頼感指数が発表された、結果は以下の通り。
結果は100.3pと前回よりも改善したがコロナ前は平均120程だった為そこまでの信頼感は回復していないがここ2,3か月は回復傾向にある。
とは言えインフレ下での生活費の高騰等や物価上昇、伸び悩む賃金などで個人消費減速は避けられず信頼感の上昇は遠い道のりだ。
またアンケートで現状に対する楽観は後退し、雇用が「豊富にある」との回答比率は34.1%にとどまった。
消費者はまだまだインフレを懸念しているのかもしれない。
日銀リーク
日銀のリークは前日、前々日に行われる事が多く、大半は新聞社によるリークだが、今回はなんとNHKが最速のリークを行った。
時間は23:43とよくリーク記事が流れる2:00よりも早かった。
英訳され下落が始まったのが0時5分頃なのでそれまでの約20分間は日本人にかなりの優位性のある時間だったであろう。
また続けて報じた時事通信や日経新聞も記事内ではあくまで「検討している」というだけで確定ではないがこれだけの報道が揃えば今回は利上げするのかもしれない、量的引き締めについては以前から宣言していた通り実行に移すようだ。
ともあれ31日の正式決定と植田総裁による会見を待ち、しっかりと意図を汲み取りたい。
三村新財務官の円安懸念
日銀リークと同じ頃0時にブルームバーグから三村新財務官のインタビュー記事が配信された。
三村新財務官は「円高だろうが円安だろうが、メリットもデメリットもある」とする一方、最近の円安はエネルギーや食品価格の上昇を招いており「デメリットが少し目立つ」と指摘した。
今後の為替見通しについてはコメントを控えたものの、為替介入の判断については「複眼的、総合的に考える」と述べた。
31日に新財務官として就任する三村氏の考えや動向は市場も無視できず今後為替介入などの時に備えその情報発信や市場に対するスタイルに注目されている。
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